海舟発言録

第38回


勝海舟と親交のあった高木三郎の回想

長崎に行かれた時、私も、竜馬も、お伴でした。四ケ月ほど滞在でして、梶さんはその時の子サ。
ホンノ合(あい)のきょうげん(狂言)デネ。私は、しじゅう先生を牛若丸といいました。キレイで、細オモ
で、小さくて、剣術柔術が上手で、イクサが上手で、本当に牛若のようでした。長崎で、竜馬と相撲を
取られました。坂本は、大キナ男で、セナカに、アザがあって、毛が生えてネ。ハア、いっしょに湯など
にも這入りましたから、ヨク知ってます。坂本は、柔術を知らないものですから、先生が、小サクて、胸
の所へ、コウ小さくクッツイた工合は、マア、鶴にタカがちょっととまったようで、それは見物で、未だに
忘れられません。坂本は、文字がありません。坂本が斬りにきたことは、その前だそうで、それは知り
ません。

(海舟座談)